エルコンドルパサーとカネヒキリと西☆岡

完勝…。それがフェブラリーSでのカネヒキリのパフォーマンス。戦前に言われていた出遅れの問題、ひきこみの芝の問題を簡単に乗り越えてみせたカネヒキリ。完勝だがどこか派手さがないカネヒキリ。このとき、即座に思い出したのがエルコンドルパサーだった。

エルコンドルパサー

日本で土をつけたのはサイレンススズカに逃げきられた毎日王冠ただひとつ。その全てのレースがカテゴリブレイクを起こすような苦しい条件だったにも関わらずエルコンドルパサーは人気という面においては同世代のスペシャルウィークグラスワンダーよりも下かもしれない。勝ち方は強いのに印象はどこか地味なところがある。だが、結果を見ると日本で負けたのは毎日王冠ただひとつ。カネヒキリもダートで土をつけたのはいまだ武蔵野Sの1回だけだ。


エルコン全成績

年月日 競馬場 レース名 人気 着順 騎手 斤量 距離 着差 1着(2着)馬
1997.11. 8 東京 新馬 1人 1着 的場均 54 D1600 1.1秒 (マンダリンスター)
1998. 1.11 中山 500万下 500 1人 1着 的場均 55 D1800 1.5秒 (タイホウウンリュウ
2.15 東京 共同通信杯4歳S 1人 1着 的場均 55 D1600 0.3秒 (ハイパーナカヤマ)
4.26 東京 ニュージーランドT4歳S GⅡ 1人 1着 的場均 56 T1400 0.3秒 (スギノキューティー
5.17 東京 NHKマイルC GⅠ 1人 1着 的場均 57 T1600 0.3秒 (シンコウエドワード)
10.11 東京 毎日王冠 GⅡ 3人 2着 蛯名正義 57 T1800 0.4秒 サイレンススズカ
11.29 東京 ジャパンC GⅠ 3人 1着 蛯名正義 55 T2400 0.4秒 エアグルーヴ
1999. 5.23 ロンシャン イスパーン賞 GⅠ 1人 2着 蛯名正義 58 T1850 0.1秒 Croco Rouge
7. 4 サンクルー サンクルー大賞 GⅠ 2人 1着 蛯名正義 61 T2400 0.5秒 Tiger Hill)
9.12 ロンシャン フォワ賞 GⅡ 1人 1着 蛯名正義 58 T2400 クビ (Borgia)
10. 3 ロンシャン 凱旋門賞 GⅠ 2人 2着 蛯名正義 59.5 T2400 0.1秒 Montjeu

超一流の競走馬


超一流の馬というのはG1をただ勝つだけでは無く、なにかしらのパフォーマンスを持ってくるものだ。大レースにおいて、人が予想する範疇を超えて勝利できるのが超一流と定義できる馬ではないだろうか。


超一流には2つのタイプがある。エルコンドルパサーのような次のステップ・次の条件に達したときに即座に対応してしまう大物型(他のわかり易い例はアグネスデジタル)、グラスワンダーのように新しいステップに達したときに停滞し、突然能力を開花させる天才肌。前者は輸送・距離・コースといった条件を全く無視した勝利をする(距離不安を一発で塗り替えたジャパンカップ)。後者は突然能力を出す(距離不安と凡走を塗り替えた有馬記念)。


カネヒキリはダートで権威を高めてきたジャパンカップダートという名前のつく国際レースを一発でツモった。しかもハナ差でレコードのおまけつき。輸送に強く、レースが終わったあともケロっとしている。


こういう馬が外国に出ても強いのだ。派手な印象ではディープインパクトに譲るカネヒキリ。こいつはドバイでやってくれるのではないかと期待している。