鶴の恩返し

エルザは弟殺しの容疑をかけられた公女
現われた謎の騎士は結婚することと「自分のことを決して聞かない事」を条件にエルザのために戦う
しかし、最後には謎の騎士は聖杯王の息子であることを明かし、去ってしまうのだ。




その騎士の名はローエングリン



デビューから期待されるのも当然だった




父 シングスピール
母 カーリング




父母ともにG1を何勝もしていて、現代の主流血統の総合のようなその血統とあまりに美しい栗毛から、大きい期待をよせられた


初戦は出遅れながら34.8の脚を使い2着。折り返しの新馬を圧勝*1東スポ2歳Sでは無理やり逃がして大敗。ダート500万を圧勝し、横山騎手に乗り変わり皐月賞TRのスプリングSに望むがスタートを失敗。ひっかかって惨敗*2




だが、横山騎手はこの一戦で才能を見抜き皐月賞でも乗る気でいた。





思えば、G1奪取の最大のチャンスだったかもしれない。
2度の重賞勝ちを含めて、ローエングリンの最高の適正条件は急坂にある。逃げながらも坂で全くスピードが落ちることなく、さらにつきはなすことができるのだ。その上で、馬場がほどほどの中距離。一度息をいれることができるコースと展開。スタンド前スタート

急坂成績 5−2−2−1
緩坂成績 3−1−1−4



だが、その皐月賞を除外


土曜の若草Sで快勝
骨折して休養していた武豊*3とともに出れずじまい。しかも、勝ったのが抽選で出走のノーリーズン。目標はダービーへ



この年のダービーは賞金レベルが高くオープン勝ちでもまたも抽選になってしまった。
3/4の抽選



大ハズレ



またも前座にでることになったローエングリンは駒草賞を圧勝*4。有力馬が次々に出走できなくなり、登録頭数の少ない宝塚へ



3歳馬として宝塚に挑んだ馬はいるにはいるが、ローエングリンほどの経歴で参戦するというのがレベルの低さか陣営の期待の高さか。宝塚記念では1枠1番。出れば絶好の枠。3番人気におされた*5。横山は一番最初にいれられたスタートにちょっと難のあるローエングリンをゲートで何度も何度もなでてなだめた。
スタートはそれほどよくない。それでも、競りかけられることなく快走。つきはなして、ペースをおとし逃げた。直線向いても何もこない。坂を登る力も抜群で全く脚色が落ちない。わずか坂後の100mでかわされた。横山には何もこないことに対する驚きもあっただろう。それが着差になっただけだ。本当に勝ってもおかしくなかった。


宝塚記念2002のラップ
12.9-11.0-11.4-12.3-12.4-12.9-13.0-12.1-11.5-11.5-11.9



レース後、横山は満面の笑みでこうコメントを残している


楽しかった〜。いけると思ったんだけどね


岡部−後藤時代



秋になるとローエングリンは横山の手を離れ、岡部の元へといった。幸四郎、岡部とこの馬を乗りこなすことはできなかった。スタートがあわない…


岡部が怪我で戦列を離れるとローエングリンは横山の元へ戻らなくなった。


後藤騎手は油の乗ったローエングリンを乗りこなせてはいなかった。ただ単にそのありあまるスピードを乗せていただけ。天皇賞ではあるまじき失態、テン5F57.5の狂気の大逃げ。それでも、ラスト300まで譲らなかった。ゴーステディは遥か後方にちぎりすてられた



騎士は戻ってきた


きっかけはお手馬ツルマルボーイでの2004年のスタートの失態だった。どうしても、欲しいG1。2年連続で連対している金鯱賞ではなく、デュランダルの回避でレベルの低い安田記念に出すことを進言した。しかし、乗るのは安藤勝巳だった。



ローエングリン陣営も海外遠征を迎えたい2004年のスタートでの岡部騎手の騎乗に疑問を感じていた。彼は、もはや勝つにはなにかが足りない老兵になってしまっていた。横山は再びローエングリンに乗る。



安田記念ではメジロマイヤーが終始かかるのを横目にきっちり内でおりあい5着。東京マイルでのこのレースぶりは十分すぎるといっていい。横山の感触が戻った。しかも、お手馬のツルマルボーイの勝利。


この感触はスプリングSで負けた時に似ている。挑戦していた時だ
あのときは皐月賞を除外されてしまった。



もう除外はない



最高の状態で、最高のパートナーで迎える宝塚記念



あなたの夢は何ですか?

*1:ちなみに、この新馬は非常にレベルが高く。今も準OPで活躍する馬がズラリ http://keiba.nifty.com/db/race.php?race=200105040806

*2:思えばここから、かかる歴史は始まったのか。この勝ち馬がタニノギムレット、2着はテレグノシス

*3:そういえば、この年3ヶ月で復帰した武豊はあまりにすごかった。サイボーグ匠

*4:しかも、スタート失敗して差しての競馬

*5:1人気ダンツフレーム、2人気エアシャカール