函館スプリントステークスにはG1レベルの練習台

1 重賞のレベル
G1レベルが集まる重賞というのは、トライアル的な部分を持つ。チャンピオンは本番前の一叩きとして、挑戦者は本番前にはずみをつけるために。また、進行勢力はG1に台頭するために挑戦権を得るために出てくる。前者はここで負けても問題ないが、後者はそうではない。本番などはまだ先の話。とにもかくにも、ここを勝たねばならないのだ。




2 函館スプリントSのレベル
さて、函館スプリントS高松宮記念馬が出走するレースであり、このレースで好走したものが、秋の大舞台へとはばたいていく非常に重要なレースである。






函館SSに出走してきた高松宮記念

                   函館SS スプリンターズS
03 ビリーヴ     56キロ(+2) 1着  2着
02 ショウナンカンプ 56キロ     4着  3着
01 マサラッキ    99年の勝ち馬58 5着  
99 シンコウフォレスト98年の勝ち馬57 1着  6着


前年のスプリンターズS馬が出走するわけではないのは、小回りの平坦であるためにスプリンターズSで要求される条件とはかなり違ってくるからだろうか。しかし、次のデータを見て欲しいのだが、本来コース特性がかなり違うはずの函館と中山*1でありながら、スプリンターズSで好走する馬も多い。
夏からの勢いが、新開催時期*2の中山スプリンターズSには要求されている。



03 1着 ビリーヴ     56 セントウル2着から 2着
03 2着 アグネスソニック 56 北海道2戦して 6着
03 3着 アタゴタイショウ 53 不出走
02 1着 サニングデール  52 直行 8着
02 2着 タイキトレジャー 57 不出走
02 3着 ダンツキャスト  56 不出走
01 1着 メジロダーリング 54 アイビスSD1着から2着
01 2着 タイキトレジャー 56 不出走 スワン2着からマイルCS3着
01 3着 ブレイクタイム  56 直行 8着
00 1着 タイキトレジャー 56 直行 10着
00 2着 ダイタクヤマト  56 セントウル7着から1着
00 3着 メジロダーリング 54 不出走 翌年2着
直行組はさすがに苦戦しているが、ここから一叩きした馬はほとんど馬券にからんでいる*3。生粋のスプリンターで賞金をかせいでいる者にとっては、高松宮からの長いブランクを埋めるのに丁度良いレースなのだ。





3 函館SSがG1馬に愛される理由
このローテーションの他にも、この夏のG3にG1レベルが集まる理由がもう一つある。それが、このレースの別定条件だ。


函館スプリントS


3歳53キロ 4歳以上56キロ 牝馬2キロ減
収得賞金(3歳3000万 4歳4000万 5歳5000万)
超過馬は5000万ごとに+1キロ



収得賞金の分かれ目までは普通のG3とさほど変わらないが、超過馬5000万ごとに+1キロという条件は、G2である中山記念京都記念と同じ条件である。つまり、普通にOPまで勝ちあがってきた馬の賞金3200万に加えて



ハイレベルG2の賞金+3200=6400 2勝しても+6400=9600
スプリントG1の賞金+4700=7900



相当稼いでいる馬でなければ、斤量が重くなりすぎることもないのだ。今回の出走馬にも重賞勝ちをしている馬は多数いるが、それでも斤量はほとんど変わらない。安心して出走できるG3なのだ。



4 今回出走する馬。中心となる馬


今回出走する重賞馬の賞金、斤量、重賞成績


(外) アタゴタイショウ  牡 4  56.0 安藤勝己  3200万 函館2歳S 1 0 1 4
   ウインラディウス  牡 6  56.0 田中勝春  8450万 京王杯 東京新聞杯 2 0 2 2
(市) カルストンライトオ 牡 6  56.0 芹沢純一  7200万 アイビスSD 1 0 4 6 G2以上は0-0-0-5
(市) サニングデール   牡 5  58.0 福永祐一 18300万 高松宮 CBC ファルコン 函館SS 阪急 5 2 2 7 G3負けはガーネットのみ
(父) シーイズトウショウ 牝 4  54.0 池添謙一  6900万 CBC 1 3 0 5
(父) タイセイブレーヴ  牡 3  53.0 川島信二  1980万 兵庫CS
   リキアイタイカン  牡 6  56.0 勝浦正樹  6700万 CBC 1 1 3 15

今回でいうと、サニングデールウインラディウスシーイズトウショウあたりはギリギリのラインで斤量を増加せずにすんでいる。この3頭が上位と見る。その中でも1200実績からサニングデールシーイズトウショウを上に。ウインラディウスも洋芝もうまいし、馬体からするとスプリントが合いそう。小回りでの先行力からシーイズトウショウも魅力、今一歩勝ち味に欠けている部分があるが池添騎手が乗るのならばそのあたりを軽く見ることもない。




逆に新聞を見ているとアタゴタイショウあたりが、去年の3着ということで函館巧者として人気しそうだが、実際のところは去年はビリーヴ以外は絶好調の重賞馬が出走しない*4というレベルであった。2着以下がそれ以降重賞を勝っていないあたりからしても例年の函館SSのレベルにはなかったと考える。上の2頭には格負けしていて*5函館だからといって逆転できるかというと微妙。




ドリームカムカムも連勝してきているが、夏実績が素晴らしいわけではない。OPでの好走が別定やハンデに恵まれていた部分があるだけに難しい。やはり中心は2頭+1だろう。




5 期待したいバクシンオー産駒
その中心に加えて、むしろ楽しみなのはリキアイタイカンやG2レベルで苦戦しているカルストンあたりよりも、4コーナー先頭の競馬にかなりセンスを感じるタイセイブレーヴ。ダートの兵庫CSを勝っているが、去年の夏の札幌すずらん賞ではナムラビッグタイムよりも速く逃げて完封したりしている。かなりのポテンシャルをもっているサクラバクシンオー産駒だろう。



負けたレースにしてもクローバー賞や全日本優駿は暴走先行馬にとっては明らかに折り合える距離ではないし、なにより全走のクリスタルCタイキバカラにかぶせられる形になって怒りながらの走り。それで結局0.7秒しか負けていないというのは素晴らしい。



SANSPOを見ると


タイセイブレーヴ・安藤清助手 「軽く気合をつけたけど、あまりにも反応がなかった。このひと追いで気持ちがどこまで乗って来るか」
http://www.sanspo.com/keiba/top/ke200406/ke2004070106.html
とあるが、スポニチアネックスの調教タイムを見ると

シーイズトウショウ 函ダ良 69.4 54.0 39.7 11.9 強 め
タイセイブレーヴ  函ダ良 68.8 53.3 39.2 12.2 強 め
http://www.sponichi.co.jp/horseracing/time/2004/07/04oikiri.html#ss
と、シーイズトウショウよりも大分時計出している。コース*6が違うにしても状態が悪いわけではない。というよりもこれで状態が悪いのならばどんな化物なの?という話である。



6 アイビスサマーダッシュについて
よく「アイビスサマーダッシュをG1にしろ!」っていう意見があるのだが、本当にアイビスSD*7をG1レベルにしたいのならば新潟競馬場は必死でJRAに訴え掛けて別定の

*1:芝の質にしても小回りであることも平坦であることも、全く適正が違う。中山はタイムとスピードを要求するのに対して函館は粘りとパワーを要求してくる。だからこそ、外国産馬が強い

*2:もうなれねければいけないが

*3:2戦のアグネスソニックを除くとパーフェクト

*4:タイキトレジャーやテイエムサンデーは7歳

*5:阪急杯高松宮

*6:外何頭目

*7:アイビスサマーダッシュ