祭りの後〜ギリシャの穴熊サッカー〜
祭りは終わった。
祭りは準備が楽しい。
by コザック前田*1
いつもそうだ。七月はサッカーファンにとっては終わる季節*2。これでまた欧州リーグが開幕する夏までは実に規則正しい生活ができる*3
…2004とつくイベントはあといくつ?
先日、書いたようにギリシャのDFは相変わらず鉄壁でこの決勝においても例外ではなくポルトガル側からすると、パウレタ、C・ロナウドは徹底的に完璧なマークをされていて仕事になっていなかった。シュートを10数本打つもののこれまた先日書いたようにペナルティエリア外の入る確率の大分低いシュートばかりとなっていた。
予定どうりに前半を0−0で折り返す。ギリシャはチャンスを待った。後半が始まるとC・ロナウド、パウレタと連続でシュートを打つがそれはもうギリシャの予定の範疇。枠をとらえることもない。すると、オーバーラップでコーナーキックを奪取する。バシナスのクロスにポルトガルDFをなぎ倒し、ヘディングを決めたのはハリステアス。フランス戦でもGLのスペイン戦でも重要なシーンでゴールを決めてきたのは彼だった。タレントがいないというのはやはり気づかないというだけで、彼の献身的なディフェンス*4とこの決定力は称賛に値する。ギリシャの核となるDFデラス、バシナス、ザゴラギスも今大会の*5ベストメンバーに入る活躍っぷり。とくにデラスは相当素晴らしい。
これを打開するためにポルトガルも最後のカードとしてパウレタを下げ、ヌーノ・ゴメスを入れた。これで攻撃の幅が広がりパスで切り崩すシーンも増えてきた。ほとんど仕事になっていなかったC・ロナウドの動きも蘇った。期待は高まる。ポルトガル国家が誰からともなく歌われはじめた。逆転は目の前か?
後半も終わりかけた頃、突然ファン*6が神聖なグラウンド上に乱入してきた。フィーゴに旗みたいなものをぶつけてさっていった。選手の集中を切ってしまうような5分の中断。ヌーノ・ゴメスが入ってからは糸口がみえかけていただけに、この茶番劇はひどい。開催国が自国の決勝戦を警備できなかったとは
この事件のあと、この試合で唯一DFを欺いてペナルティエリアからシュートまで持ち込むシーンをフィーゴが単独でつくる。が、シュートは無常にも離れていく…
アンリドロネー杯を掲げたのは
徹底して相手を苦しめるマークサッカーでファンタジスタというものの存在ないサッカー*7。欧州選手権は自国のキャラを出す試合と言われる。だからこそ、GLで破れていったのは自分たちのサッカーができなかったスペイン。決勝に残った2国はどちらも自国のサッカー色を色濃く出していた。ポルトガルは決定的なシーンでも美しいパスのまわしあいに終始していたし、ギリシャは徹底的にマンマークを続けた。
ところが、ポルトガルは自国のキャラを崩してサイドからのクロスに活路を見出していた。それほどギリシャのDFの壁は厚かったのだ。
これからEURO2004を語るときはまるで昨春のセンバツ優勝済美*8のように、「ギリシャが相手封じの穴熊サッカーでガンガン優勝候補をなぎ倒した大会」と安心して語り草にすることができる。
祭りは終わっても