セントライト記念/ローズS

セントライト記念


今回コスモバルクが菊に向けて重要だったのは


1.勝つこと
2.落ちつかせてレースをすること
だった*1


1.勝つこと
地方から菊花賞に挑戦するためにはこのセントライト記念で3着に入る必要があるのだが、もちろん勝って挑戦というのが理想。


2.落ちつかせてレースをすること
ダービーではマイネルマクロスがひっぱる高速ペースを2番手のメイショウムネノリの後ろに入って折り合えばいいものの、それができずにブチ切れてしまった。3000mの長丁場では1000〜2000mの間で必ず手抜きをする必要がある。3000mを全開で走りきるなどということはどんな馬でもできない。今回は手抜きを覚えさせつつ勝つということが重要だろう。


スタートからは阿寒湖2着のスマートストリームひっぱろうとしていたところ、コスモバルクがこの後ろにつけて…折り合えない。1コーナーをまわるともう一気に行ってしまった。この時点でもう2は終了。どころかなんと1000mの通過ラップが58秒台*2とまあこりゃ葬式ラップで出走圏もかなり危ういものだ。


だが、そのまま飛ばしていたのかそう見せかけて息を抜いたのかレースを見ているとわからなかったが*34コーナーで一気にまくりたてられる。ただ、ここからが強かった。一回も息を入れていないままホオキパウェーブトゥルーリーズンを振り切り2200mを押し切ってしまったのだ。


そのタイムが2:10.1!!!!
日本レコードだ。こ、これはもはやホオキパとかトゥルーリーズンもレコードじゃんとかいうレベルじゃすまない。レースを何度みても2コーナーあたりから前にかぶせ初めてかかりっぱなしで出すタイムじゃない。


もっと気になるのが他馬のことだ。いくらこの時期の中山が年間で最も時計の出る時期でレコードがよくでるとしても、コスモバルク以外はレベル的にはそれほど高くはないと思われたのに掲示板に乗っている馬は2:10.5内で走り切っている。しかも、トゥルーリーズンモエレエルコンドルまでが前残りなのだ。全く理解できない。


ラップタイムを見てみよう。


12.2 - 11.2 - 11.6 - 11.9 - 11.9 - 11.9 - 12.0 - 12.0 - 11.9 - 11.5 - 12.0

1000m時点のタイムが 58.8
1600m時点のタイムが1:34.7
2000m時点のタイムが1:58.1

完全な葬式直行コースのラップ。道中のラップがテン以外全て12秒以内でありながら最後の1Fまでが12.0とはどういうことだホオキパウェーブが積めよっても全く寄せ付けない。中距離でこの2着以下の馬に今後負けることは永遠にないというのはわかる。一つ仮説を立てるとするとコスモバルクにとって12秒のラップはさほど苦にならないのではないか?ということ。


注目してもらいたいのはこのレースの前半3Fのラップである。このレースはハナを主張する馬がいなかったために、先行争いによる前半2Fのラップが12.2-11.2-11.6と急加速しているわけではない。今年のダービーだと12.5-10.6-11.3と急加速していて、ここからペースダウンしていった。コスモバルクはこういう加速したあとの減速が苦手なのではないか?


となると、最近の菊花賞の前半5Fラップを見てみるとかち合った02年と98年のセイウンスカイ以外は4Fまでには急減速している。これはいきなり坂から始まるスタートという京都3000mの難しさがそうさせている。最初の坂を登るまでに先行争いは終わって、下りはゆっくりくだらなけらば行けない。コスモバルクが仮に逃げたとすると02年や98年のような凶悪なラップを踏んで行くつもりではないだろうか?そこで貯金を使った上で逃げきるなんてのは無理な話で、逃げ切ったセイウンスカイは当然1000〜2000では13秒台をはさんでサボっている。コスモバルクに五十嵐騎手にそれができるかどうか。今年は02年ぐらい差し優位な菊花賞になりそう*4


03 13.0-11.1-11.7-12.7-12.1
02 12.9-10.7-11.0-11.7-12.0 ローエングリンダイタクフラッグ
01 13.3-11.7-12.3-12.8-12.9
00 13.4-11.2-11.5-12.7-12.7
99 13.6-12.7-12.8-12.8-12.4
98 13.3-11.5-11.7-11.7-11.4 セイウンスカイ
五十嵐騎手はコーナーワークの上手さでコーナーごとに差をつけることがアドバンテージ。京都外回りは下りで加速して広い直線が差してくる馬に有利なコースなので、彼の持っている騎乗力がプラスするコースではない*5菊花賞ではレース後のインタビュー「本番では馬の力を出し切れるように乗りたいです」という言葉からすると抑えるよりも逃げるような気がする。

菊花賞で逃げた馬     

               位置どり  最長連対距離  トライアル成績
03 シルクチャンピオン 10着 01-01-01-02 1800              
02 ローエングリン   16着 01-01-01-04 2200若草S 1着 神戸新聞杯14着
01 マイネルデスポット 2着 01-01-01-01 2500かきつ1着 京24、10下3着
00 マッキーローレル  15着 02-01-01-02 ダート1870   セント記念4着
99 タヤスタモツ    4着 01-01-01-01 2500阪神9下2着 京都新聞杯5着
98 セイウンスカイ   1着 01-01-01-01 2400京都大1着 京都大賞典1着
97 テイエムトップダン 7着 01-01-01-01 2000毎日杯1着 京都新聞杯8着
96 ローゼンカバリー  11着 01-01-01-01 2200セント1着 セント記念1着
95 マイネルブリッジ  10着 03-01-01-02 2000NHK杯 1着 京都新聞杯6着
94 スティールキャスト 14着 01-01-01-01 2600札幌9下2着
93 ツジユートピアン  15着 01-01-02-07 1800きさらぎ1着

ほとんどの馬が実績的に話にならないのだが、連対している2頭は京都2400mでの好走があったような適正がある馬ということを考えると積極的に狙えるほどではないか。

ローズS


武騎手がハナにこだわりすぎましたね。
12.7 - 11.1 - 11.8 - 11.7 - 11.6 - 12.2 - 11.8 - 11.8 - 11.6 - 12.7


1着 レクレドール 安藤勝
ただし、今回は完全にハマったレースで秋華賞ではヤマニンアラバスタヤマニンシュクルスイープトウショウと直線勝負の馬達とのものすごく激しいポジション争いになる。チャンスがあることはあるが、楽なレースにはならないだろう。


反省
よく馬柱を見るとこの馬デビュー戦が阪神2000mで33.9という脚を使っている。このレースのあがりが35.2ということから向かない条件ではない。底を見せていない馬で古馬500万の1500mとはいえ完勝している馬でもあり、鞍上が安藤騎手ということも考えると展開が向けばチャンスがない馬ではなかった。どちらにしても、それほど条件が良くない*6のに人気している底を見せていない馬は3連単についての印象*7で書いたように消してはいけない例。



2着 グローリアスデイズ 柴原
クラシック組で夏を超えての成長幅が一番大きかった。


内枠をぴったり追走。先行する有力馬を前において一番競馬しやすかったのはこの馬だろう。おそらくペースを読んでいたというよりも、3コーナーで仕掛けるのに柴原騎手が押しても押しても全くついていけないという予想の2のパターンで3〜4コーナーで加速するのを見過ごして4コーナーを曲がりながらエンジンをかけたのが大成功。直線ではスイープトウショウに切れで一旦かわされても坂でさらに加速。トライアル王を競り落とす。ただ、ここで終わりではなかった最後は騎手の差。初重賞とはならず、もっと距離があったほうが強いタイプだと思う。
来年の福島牝馬S愛知杯マーメイドSで期待したい。脚質からすると京都内回りでも良い脚は使えそうだが、京都内回りではダンスインザムードに届く脚ではないしスイープトウショウほどさばける脚質でもない。



3着 スイープトウショウ 池添
2歳時から活躍しながらこの夏を超えてパドックを周回する姿も落ちつき払っていて気合乗りは遅い方なのだが、気合を出すことも忘れていなかった。その癖から一番最初にゲートに入れられる。全く問題なく入り、騎手が乗っても落ちつきと成長ぶりが伺えた。スタートは左によれて外の馬はちょっと邪魔される形になったが出遅れではない。これでさらに息の長い活躍ができそうだ。
池添騎手には脚を計るよりも勝負は前の馬、前残りに気をつけようだけという意識があったのだろう。3〜4コーナーの勝負どころで脚を使いながら前に追いついてしまう。ここからは合わせるグローリアスデイズが後ろからやってきた*8こともあり、グローリアスデイズが持続性のあるタイプであったこともあり脚が足りず差し負ける。
もうひとつ、中距離のハイペースということもありはじめての上がり35秒台*9。もちろん今回も後ろできっちり貯めていれば34秒台の脚を使ってもおかしくなかったはず。負けなしの京都ならば勝つでしょう*10



4着 ヒカルドウキセイ 武幸四郎
これで3戦連続4着。初の関西遠征輸送で体重も減っていた。どちらにしても上位3頭、アズマサンダースも含めてこの距離と右まわりにおいては差が大きい。追走力がないことあたりを見ているともっと長い距離のほうが良いかもしれない。さらに左回りであればなお良く東京の2400m以上の距離でのレースを見てみたい。



5着 アズマサンダース 蛯名
ずっと11秒台を刻むラップをメイショウオスカルダイワエルシエーロと真っ向勝負をしに行った。しかし、メイショウオスカル武豊がこの馬が一番ヤバいと判断したためか、抜け出す間がなくなり外からはダイワエルシエーロが進路を遮断した。結局その4コーナーの攻防が0.4秒の差をつけたのだと思われる。ようやく抜けだしたのが残り2Fで相手はすでにトップスピードにのっているわけだから勝ち目がない。京都が向くようなタイプには見えないがこの1戦では上位3頭とそれほど実力差は感じない。



7着 ダイワエルシエーロ 福永
中距離の経験もないのに先行するとこうなるのは仕方ない。としてもこれを克服できなかったというのは秋華賞においてマイナスにしかならない。



9着 メイショウオスカル 武豊
武豊はなぜこんなペースで逃げたのだろう?牝馬ではこんなペースで持つはずもない。2:00.3というのは例年なら勝ちタイムかもしれないが自分が引っ張って出すタイムならばもっとスローにするべきだったはず。これじゃあダンスインザムードのためではないかとさえ思えてしまう。

*1:と思う

*2:58.8

*3:実際は飛ばしっぱなしだった

*4:ハーツクライでいいでしょう

*5:これは菊花賞に来る外国人騎手にも言えること

*6:ように見える

*7:http://d.hatena.ne.jp/umanusi/20040917#p2

*8:おそらくこの馬にとってはじめてのこと

*9:35.5

*10:ダイワエルシーロが折り合ってスローならダンスだろうけど