有馬記念 その2 〜競馬ブックがやたら強調したがるデータ〜


有馬記念は3,4歳が強くて5歳以上は消し
競馬ブックにデカデカとこのデータが乗っている。このデータにより数多くの3歳馬が過剰人気してガンガン沈んできた*1。実際は斤量差で3歳が活躍しているわけではない。未来を背負う一部の馬が当然のように勝利しているのだ。5歳以上は全然G1に届かないようなクラスの出走頭数が多いから反故にされているが、毎年馬券になってきている。3歳馬から有馬記念に出走するような馬はその時点でG1を勝っていたり、連対しているようなレベルの馬である。実際、高いレベルの馬は年末のグランプリでも古馬相手に最後の斤量差を生かした好走をしている。3歳馬で馬券になれるのは牡馬クラシック連対馬。勝っているのは菊花賞馬とシルクジャスティス。今年で言うと菊でぶっちぎられているハーツ、ハイアーはもちろんグレイトジャーニーだとかピサノクウカイは論外である。


本当に強いのは春にG2を勝っていたり、天皇賞、宝塚で連対しているような古馬。とくに関東馬である。関東馬で年内にG1を勝っている馬の成績をあげると次のようになる。


03 シンボリクリスエス 1人1着 ペリエ 天皇賞
02 シンボリクリスエス 2人1着 ペリエ 天皇賞
02 イーグルカフェ   14人14着 田中× JCD
01 マンハッタンカフェ 4人1着 蛯名  菊花賞
99 グラスワンダー   1人1着 的場  宝塚
98 メジロドーベル   3人9着 吉田  オークス、秋華
98 オフサイドトラップ 8人10着 柴田  天皇賞
96 サクラローレル   1人1着 横山  天皇賞
96 タイキフォーチュン 7人11着 柴田  NHK
95 ジェニュイン    3人10着 岡部  皐月賞
95 サクラチトセオー  4人3着 小島太 天皇賞
94 ネーハイシーザー  2人9着 塩村  天皇賞
93 ライスシャワー   5人8着 的場  天皇賞
91 メジロライアン   5人12着 横山  宝塚記念
91 プレクラスニー   3人4着 江田  天皇賞
89 イナリワン     4人1着 柴田政 宝塚 天皇賞
このなかで古馬王道路線や牡馬クラシックを辿っていた馬で秋に好走している馬をあげてみると、全て勝っているということがすぐにわかるだろう。それほどに秋の関東G13連戦を関西馬が戦ってきて実力を出しきるのは難しいのだ。中山芝長距離に乗る機会も関東騎手が圧倒的に多いことも原因のひとつだろう。このコースを勝ちきるのは関西馬だと3歳でクラシック連対し、掲示板をはずしていないようなレベルかG1を2勝以上しているような馬でないと勝つのは難しい。どちらにしても、馬券になるには秋G1遠征は1戦に留めておきたいところ。

馬の状態も展開もつかみづらい有馬記念だが、ひとつだけ予想できることがある。佐藤哲三タップダンスシチーのレースのやり方だ。哲三は間違いなく3コーナーから動くレースをする。タップの引退レースでもありこれは間違いない。この条件は逃げるコスモバルクにとっては相当につらい。これを考えると2の脚を使えるバルクはタップダンスシチーの2番手につけたいとも考えているかもしれない。ジャパンカップ後、五十嵐騎手は「ルメールの騎乗を見てバルクの力の引き出し方がわかった」と言っている。


だが、コスモバルクが2500mを乗りきるのに必要なのはとにかく折り合い。これに尽きる。五十嵐騎手が中央の騎手に比べて強調できる要素は、広いコースでの仕掛け合いというものではなく北海道競馬で積みあげてきたコーナーリング技術である。コーナーがきついコースを五十嵐騎手は実に器用に回る。6回のコーナーがある有馬記念。いかにロスを減らす騎乗で乗って最後まで粘れるかがポイントなだけだ。


だが、ニュースサイトを見てみると面白いことに岡田も田部調教師も揃ってゼンノロブロイマークとか言っている。しかも、後ろからマークするんだとか


いやいや、いくらなんでも佐々木調教師の泣きと同様にさすがに他陣営にもブラフというのがバレバレだろう。コスモバルクのワーストレースである皐月賞。控えて外をまわったために持ち味の2の脚も切れも使うことなくダイワメジャーに先行抜けだしを食らった経歴がある。タップダンスシチーがいる限りゼンノロブロイをマークするのは得策ではない。というか、現役最強のタップを無視してゼンノロブロイをマークなどというのはあまりにお門違い。ジャパンカップ後に大井に残って調整を続けてきたバルクがわざわざ自分のレースでないような差しだとかマークだとかいう戦法を取ることはないだろう。

*1:パッと思いつくだけでもトーホウシデンシンコウカリドノーリーズン