阪神JF 〜歴史を塗りかえる可能性を持っているアルーリングボイス〜

今年の阪神JFには、5戦4勝という桜花賞に出てもこれだけの実績を持った馬が出走する。牡馬相手に小倉チャンピオンになったアルーリングボイスだ。ここで賞金は充分となったはずであるのにその後も連戦。1ヶ月以上の間隔を明けずに戦ってきた。


7/3 新馬   2着
7/23 未勝利  1着
9/4 小倉2歳  1着
10/1 ききょうS 1着
11/6 ファンタジ1着
今週の12/4に出走するのだから、ちょうど中3週づつのローテーションを組んでいることになる。早熟と判断し、勝てるうちに勝ちまくろうという判断だろうか。それぞれのレースで 逃げ切り、好位抜けだし、追い込み とバラバラのパフォーマンスなのだから恐れ入る。全てのレースであがり上位をマークしているのも力の抜けた証拠だろう。


さて、その4勝というラインはどれだけ珍しいのか。歴代の阪神2歳女王をみていってみよう。


阪神2歳優勝馬のレース前までの勝利数

2004 ショウナンパントル 1勝
2003 ヤマニンシュクル  2
2002 ピースオブワールド 3
2001 タムロチェリー   2
2000 テイエムオーシャン 2
1999 ヤマカツスズラン  2
1998 スティンガー    2
1997 アインブライド   2
1996 メジロドーベル   3
1995 ビワハイジ     2
1994 ヤマニンパラダイス 2
1993 ヒシアマゾン    1
1992 スエヒロジョウオー 2
1991 ニシノフラワー   3

なんと1頭もいない。歴代2歳賞金女王はいまのところニシノフラワーだと思うが、アルーリングボイスがこのレースを制したならば歴代2歳賞金女王ということになるのだろう。


では牡馬のほうなら2歳で5勝という馬がいたのか?


朝日杯優勝馬の朝日杯前までの勝利数

2004 マイネルレコルト  3
2003 コスモサンビーム  3
2002 エイシンチャンプ  2
2001 アドマイヤドン   2
2000 メジロベイリー   1
1999 エイシンプレストン 1
1998 アドマイヤコジーン 2
1997 グラスワンダー   3
1996 マイネルマックス  3
1995 バブルガムフェロー 2
1994 フジキセキ     2
1993 ナリタブライアン  3
1992 エルウェーウィン  2
1991 ミホノブルボン   2
1990 リンドシェーバー  2
1989 アイネスウウジン  1
1988 サクラホクトオー  2

なんといないのである。これはアルーリングボイスが優勝すれば、2歳女王どころか2歳での歴代獲得賞金トップに君臨する可能性がある。というか、2歳G1を前にして4勝をあげていた馬がいたのかどうかすら怪しい。まあ、実は一昨年のメイショウボーラーは朝日杯前まで4勝をあげていたのだが、コスモサンビームにクビ差負けてしまった。同じ小倉2歳Sの勝ち馬という共通点も面白い。



もちろん、これまで1400mしか使っていないアルーリングボイスに不安点ももりだくさん。なんといっても前走が鮮やかに過ぎる。武豊騎手ということもあって人気も集中するだろう。さらに、最近、競馬えれじいのカミナリさんのところで話題に出ているバウンスの話からすると、次のレースのパフォーマンスは落ちどころかもしれないのでそこが心配なところ。未勝利戦は手を抜いていたにしてもこの3ヶ月のどこかにピークがありそうな感じもする。メイショウボーラーよりも自在性がある馬だからマシだとは思うが、アルーリングボイスはこのレースを優勝して賞金女王になれるのだろうか。

ちなみに、アルーリングボイスの血統は
父 フレンチデピュティ
母 アルーリングボイスは母父 エンドスウィープミスプロの3×3。


まさに早熟ダート血統の短距離血統という印象を受ける。フレンチデピュティの産駒で重賞を勝っているのは他にライラプスクロフネアンブロワーズがいるがいずれも3歳春までに重賞を勝っている。仕上がりが非常に早い。クセがあるのが特徴的で馬群に入れられる枠が良さそう。

参考


2歳獲得賞金ランキング
http://keiba.yahoo.co.jp/standings/horse/young-female1.html