宝塚展望 〜今年の鍵となるポイントは何か〜
4歳馬がディープ1頭。今までのライバルは誰も出てくれませんでした。それでもディープインパクトは走ります。3つの切り口で予想していきたいと思います。
■ ディープインパクトの特性
・3コーナーからまくる
・3着までにつれてくる馬はほとんどサンデー系
・3着までにくるのはディープインパクトを完全に無視した競馬のできる先行馬
・中でもノリは最強
■ 第一の切り口 展開
そんななかで今年の先行勢というとダイワメジャー、コスモバルク、シルクフェイマス、バランスオブゲームである。だが、ダイワメジャーは馬ごみに入れて2番手の競馬をしたい馬。コスモバルクも最近はそういう傾向にある。シルクフェイマスは逃げたりなんかもしているが、基本的に自分のペースをつくることが大事な馬なので結果的に逃げた。もしくは、逃げさせられたというシーンが多い馬。バランスオブゲームも最後に決めてがあるわけではないため、ワンラップで逃げたほうが好成績。ということで今回は誰もがそれほどいきたくないという形で最終的に外にいるシルクフェイマス、バランスオブゲームが押し出される格好になると思う。とくにマイル戦後のバランスオブゲームがペースをリードする形になりそうだ。
番手が四位、ヨシトミというベテランであれば五十嵐も何もしないだろう。スタート後にすぐコーナーがある京都2200だが、おそらくペースはすぐに落ち着いて12.5〜13.0を4,5ハロン刻みだすような形になると思う。タップダンスシチーがでていた最近の宝塚記念とか、若い牝馬が参戦するエリザベス女王杯のようなラップではなく小頭数の京都記念のようなラップになるのではないか。
先行勢はあがり4F勝負。ディープインパクトも例のようにはやめに動き出さないと捉えきるのは難しくなる。後方勢はそれにつられてあがり5Fを息抜かずに走りきらなければならないような状況になるか。
■ リンカーン
58キロを背負うということで6歳以上の爺は全部ぶったぎる!といいたいところですが、戦歴浅くようやく本格化してまともな調教をできるようになったリンカーンは油の乗った状態。どころか今週のおいきりは52.7−12.5という今まで見てきたこともないような絶好のおいきり。相当にオッズは低いが、ともかく2着からはずせるような馬じゃない。3着があるとしたら1枠1番というあまりの内枠のために抜け出すのにワンテンポ遅れる。もしくはバランスオブゲーム、シルクフェイマスあたりが単騎の大逃げという状況になった場合だけだろう。リンカーンの後ろから来る馬(愛ポッパー、カンパニー、服部あたり)に逆転の余地はない。
現時点で
ディープ
>リンカーン
>コスモバルク、ダイワメジャー、シルクフェイマス、バランスオブゲーム、カンパニー、愛ポッパー、ハットトリック
7点
ディープ
>コスモバルク、ダイワメジャー、シルクフェイマス、バランスオブゲーム
>リンカーン、コスモバルク、ダイワメジャー、シルクフェイマス、バランスオブゲーム
16点
の2パターンが買い目。この22点を買えばまず外れはしない。でも面白くない。もっと別の切り口で絞っていこう。どうせ京都にいくのなら、飲める果汁はもっと濃くしなければならない。
■ 第二の切り口 宝塚記念は夏競馬
夏競馬は勢い重視などという言葉がある。実績馬が休養に入って、勢いのある馬が台頭してくるという要素もあるだろうが、単純にデキがなければ好走できないという要素もあるのではないかと思う。実際、宝塚記念は95年など京都でやったときも含めて6歳以上の馬が3着に入ったという例がたった1頭しかいない*1。ほかはすべて5歳以下なのだ。ステイゴールドですら2,3,4着と着順を落としていった。
超晩成の代名詞である。金鯱賞3連覇、最年長重賞制覇、最年長JC制覇。数え上げれば6歳以降のタップダンスシチーの功績はきりがない。そのタップダンスシチーが6歳で3着、7歳で優勝したのが最近では唯一の例外なのだ。
実はさらにさかのぼるとメジロマックイーンが圧勝した年に7歳馬がワンツースリーだった年がある。だが、それは時代が違う。あの時代は6歳馬(旧7歳)には1キロのハンデが与えられ、さらに定量も57キロだった。1996年に定量牡馬58、牝馬56になってからの例外はタップしかいない。さらにいうとメジロマックイーンが優勝したとしにしても、2着のイクノディスタスも前走で安田2着だったわけでデキはあったわけだ。
今回は最初に述べたように4歳はディープインパクトのみ、6歳以上が7頭という状況だがこれはもうG1好走のあるリンカーン以外はすべてぶった切りたい。
現時点で
ディープ
>リンカーン
>コスモバルク、ダイワメジャー、カンパニー、ハットトリック
4点
ディープ
>コスモバルク、ダイワメジャー
>リンカーン、コスモバルク、ダイワメジャー
4点
さて、これで4頭、8点になりました。これで満足ですか?
いえいえそうはいきません。ボロ株観光TVの選抜能力*2をみくびってもらっては困ります。
・・・つづく
■ 第三の切り口 安田記念組の京都2200適性
ここからがかなり重要なポイントです。
最近の宝塚記念で馬券になった安田組というとグラスワンダー、ダンツフレーム、スイープトウショウといった安田記念の連対馬、かつ2400以上のG1連対実績を持つ馬だった。最後に坂のある半身の2200では確実なスタミナがないと持たないということだろう。ただ、京都だとオースミハルカや前の京都開催でのタイキブリザードのようにそれまでの適正では1800ベストに見えていた馬でも通用するというところがある。ただ、その後中長距離でも活躍しているようにいままでの中長距離実績がないだけという馬でないと厳しい。
エリザベス女王杯を見ているとクラシック組でいうなら秋華賞>ローズS>オークス>桜花賞の順に好走馬がでていることがわかる。さらにいうなら桜花賞馬は2000m以上の重賞連対がないようでは端にもかかりません。テイエムオーシャンが完敗したのもうなずける。残った5頭のうち3頭が安田記念組だが、このうちハットトリックは1800以上の重賞に挑戦して5回敗れている。さらに今年の春は思わぬ不調。これは去年香港から帰ってきてだめだめになったダンスインザムードと状況も似ていて、この強行軍ではダイワメジャー、カンパニーを逆転する目はないように思う。
さらに面白いことに、ハットトリックはカンパニーに1度も勝ったことがないのである。この馬はきっちり切るのだ!
■ 残った馬をまとめる
カンパニー
先に書いたように今回は展開面で言うと前の集団にいる4頭が主役になる。この1年で重賞を2賞するまでに成長したカンパニーだが、いまだにG1の壁は厚く立ちはだかっている。だが、1600、3000といった適正とは少し外れた距離であることも関係しているだろう。きさらぎ賞を除けば例外なく最終着順が4コーナーでの順位より上にきているように中長距離への適正は秘めている。出たことがないだけで2400,2500といった距離もこなせる馬である可能性は十分にある。京都という舞台も文句なしだろう。それこそディープインパクトが前をスイープしてくれる展開になったときにはシックスセンスのような漁夫の利を得るのはこの馬か。
まあ、バランスオブゲーム、ダイワメジャーあたりとは相当に相性が悪く、自分から動ける馬ではないのでそこを履き違えると圏外に飛ぶだろう。
ダイワメジャー
皐月賞馬が中距離路線を歩むのではなく短距離路線を歩んでいたのはあまりにも先行能力が高すぎるからだ。とはいえ、逃げて折り合うことができるほど器用ではない。こうなると道中で遅いペースの入ってくる中長距離ではなく、ペースの速い短距離戦と考えるのは当然だし、その適正は高いだろう。初戦を除くと逃げ馬の直後で競馬するシーンが目立つ。ローエングリンがいたならば文句なく本命してもいいタイプの馬だが、今回逃げるヨシトミや勝春は単ペースでは逃げてくれそうにない。2200をきっちり折り合って最後の足まで残しておく余裕があるかはかなり疑問である。
それでも、右回りの強さは相当なものがある。問題は距離ではなくペースで折り合えるかということだったが、枠は最高。斤量の58も何度もクリアしている。中長距離に対する適正はダービーで先行して6着に粘っているあたりからすると十分備えているといえるだろう。ともかく今年の内容とG1に対する適正の高さはすばらしい。騎手がちゃんと固定していたら重賞だってあと2つは勝っているだろう。それでも、やはりリンカーンの充実度には劣る。
コスモバルク
五十嵐を降ろして去年は何もいいところがなかったコスモバルク。有馬記念で五十嵐騎手に戻ってようやく波を押し返した。好走できる範囲は2000〜2400で京都の2200でダイワメジャーとかバランスオブゲームあたりがいるという先行が固まる展開は相当競馬しやすい。ジャパンカップでも2着、、去年の有馬で4着、セントライト記念のレコードを持っているようにこのあたりの距離に適正がある。
さて、3頭ともに目があるように見える。しかし、ここで元の条件に立ち返りたい。ディープインパクトがどんな馬を連れてくるか。さらに、私はリンカーンも堅いと考えている。この2頭は近くを走る馬をことごとくスイープした。残るのはリンカーンの直後から来るカンパニーが3着に残る目と、リンカーンの前で競馬するダイワメジャー、コスモバルクがリンカーンを振り切る目。これしかない。
ディープインパクト>リンカーン>カンパニー
ディープインパクト>ダイワメジャー、コスモバルク>リンカーン
さらにリンカーンの52.7−12.5という充実度、横山典弘という騎手。そして、なんといっても京都の外回りという舞台。この3つの要素がリンカーンを後押しし、2着を確実なものにすると信じられる。
ディープインパクトの壮行会を3連単の1点で仕留めたいと思う。