古代エジプト文明/馬体診断

古代エジプトにおいて、ファラオ(王)の設定は神であった。人々が思い描く神が存在したのだ。ギザの大地に今でもそびえたつ大ピラミッドは、古王国時代第4王朝のファラオ、現人神であったクフ王が築いた巨大なモニュメントである。
ギリシア人の著述家ヘロドトスは、紀元前5世紀のエジプトを旅し、各地で見聞きしたことを「歴史」という大著にまとめている。その中でヘロドトスは、このエジプト一のピラミッドを建てたクフ王を、人々を重労働にかりたてた暴君として紹介している。
しかし石切場に残された労働者ののこすいたずらがきには、クフ王をたたえるものがある。また年に一度のナイル川の氾濫時に行なわれる。ピラミッド建設は、その間作業出来ない農民たちに衣料や食料を支給し、住むところも容易するという一種の失業対策でもあったのだ。だからこそ重労働にも人々は耐え、「クフ王ばんざい」といういたずらがきを残したのかもしれない。ヘロドトスが見たのは一部の情景ともいえるのだ。