馬体

物事はつねに多角的に見ることで客観性をもつことができる。ともすれば、一点をみつづけることでみえなくなるまわりの出来事のほとんどが正しかったりするのだ。
大坪元雄はこう言う「毛づやが素晴らしいですね。馬体のはりがいい」専門家はシャープな脚捌きと馬体の見栄えで判断している。トモのおくり、腹の浮き具合などがそうである。しかし、現在の身体学でトップアスリートとしての条件として最も大切なもののひとつは筋肉の柔軟性でも、骨格でもなくの噛み合わせといわれている。歯の噛み合わせが十分であるアスリートは骨格のバランスが均等になりやすく、筋肉への瞬発速度が反応速度を超えていることがわかってきている。一流アスリートは総じて奥歯を噛む力が一般の人間の倍以上であり、ボディバランスがとれるのはそのためである。
歯並びなどはめったに見る機会はないのだが、実際に競走馬を購入する段階ではこれは非常に重要な点としてみきわめるべきである。現在の馬体診断とはかけ離れて、血統とは関係ない力を見出すことができうるであろう。競馬界は最もマネーのからんだ分野であるにもかかわらず、身体学を利用せず。個々の能力を血統で測ろうとする危篤な世界である。
短距離に必要な力は前脚の筋肉である。重要な点は1200のレースはスローでない限り、弱呼吸状態での運動であるために肺機能よりも筋肉を必要とする。でたらめな走りでも筋力さえあればよい。
1400になるとこれが少し変わってくる。京都や東京、阪神に設定されているが前者と後者では適性にかなりの違いがある。両方で勝ち負けしている馬はこの条件ではひとつレベルが高いか、もしくはレースレベルが低かったかのどちらかである。前者は後ろ脚の筋肉を必要とし有酸素運動中の最高速に重点がおかれる。ポイントは最初のコーナーを曲がった後の最高速を直線にもってこれるか否かである。このタイプは典型的な短距離型で1600mのハイペースには対応しかねる。もう一方は高い平均速度を維持できるタイプである。このタイプはとくにG1ペース(ガチンコハイペース)に強い。