ホームランうてるか田村

「どーもー、こんばんわー。麒麟です。お願いしまーす。」
麒麟です」
(よろしくおねがいしまーす)
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「いやー、あの思うんですけどねえ。プロ野球選手ってかっこいいと思うんですよ。」
「かっこいい」
「スポーツ選手てあこがれるやんか」
「あーそう」
「なかでもね。9回の裏、緊張の一瞬みたいのがあるねや。あんなんやってみたいなと思ってね。」
「やってみたい?」
「やってみたい」
「やりましょ」


「さあ、9回の裏ツーアウト満塁となりました。
(田村がバッターのかまえをする)
1打でればサヨナラ逆転満塁ホームランという緊張の一瞬であります。試合は最大の山場をむかえております… 緊張の一瞬… ふりかぶって… 
(田村がむりやり投げる)
ピッチャー田村なげました。」
(田村、面白い顔でもっかいリプレイ)
「ええ、放送席、放送席。まさかの女投げをした田村投手です」
「恥ずかしいわ! 恥ずかしいわおまえ。」
「なんやねん。このへっぴりごし」
「違うやん。このフォームでわかるやん。ピッチャーマウンドで何してるん。俺」
「目には目をみたいなやつちがうんけ」
「おれへんそんなやつ」
「目には目をじゃないねん。はむかわれへんねん。そんなもん」


「あーあーあー、そうかそうか。9回裏ですよ。ツーアウトですね。満塁みたいでござんすけどね。ええ。一打でればサヨナラで逆転で満塁というまあよくわからない状況ですね。 ピッチャー投げました。 バッター打ちました。 うった。 あ、大きいみたい。 あ、入った。 おめでとう」
「ちゃんと実況せいや!近所のおっさんがしゃべってんのか!」
「野球うまいね」
「あたりまえやろ!」
「はいはいはい」
「そんなインタビューあるか!おまえ」
「なんやねん」
「違う。ちゃんとしてもりあげえや」
「かっこええやろ」
「緊張感もっておまえもやれ。おし、わかった。」
「ええわ」


(田村スタンバイ)


「さあ、緊張の一瞬であります。ピッチャーはふりかぶって第1球。 投げました。 うったー。 これは大きい。 いったいった。これは入ったかー。入ったか。入ったか。 ファールーファールー」
(田村くやしそうにする)
「しかし、あわやホームランかといったあたり。応援団も熱が入っています。ドーンドンドーン。」
「おお、これは熱がはいるわな」
「ドーンドーンドンドンドーン。♪そーれかっとばせたーむーらー、うたなーきゃ まぶたをまつりぬいー」
「怖いわ!怖い怖い」
「それ、かっとばせー」
「怖いわ!」
「なんやねん」
「なんで目ぬわれなあかんねん」
「なんでや」
「やりすぎや。どうかんがえても。」
「一打にかけてくれよ」
「ペナルティが重い!」
「なんや」
「がんばるから。おうえんして」


「♪ダンダンダーン ホームランうてるかたーむらー 顔色わるいぞ寝不足か つかれているなら無理するな すーこしー横になるかー」
「心配しすぎや!」
「おっかゆ!おっかゆ!」
おかゆいらーん。なんでバッターボックスでかゆ食うねん」
「おい」
「よーへんやあらへんがな」
「おい、ファンのおかゆやぞ」
「違う」
「ファンのおかゆやこれは」
「タイムとっても食われへんねん」
「何?」
「今そんなときやないの!頼むちゃんと」
「ダンダンダーン ひさーしぶりのやすーみにー 北海道に行きました 景色が綺麗でした 来年もいきたいなー」
「違う!」
白い恋人!」
「いらーん!」
「なんやねん」
「いちいちもってくるなや。バッターボックスに!」
「おい!」
「なんでこの場面でグラウンド入ってきてんねん。お前。入られへんねん。」
「大ファンやからやて」
「大ファンでも無理」
「気持ちではいれんのやないか」
「気持ちの問題ちゃうねん」
「なんやねん!」
「ちゃんとやってくれやー!」
「バッターしたいねん。バッターを。かっこよく」
「えらそうに言うな!ボケー。なんじゃ」
(田村バッターボックスに)
「あほー」
「あほーてなんやねん!」
「なんや!」
「なんで悪口いわれなあかんねん。みんなの前で」
「俺だって一生懸命に応援してるのになんやねん。その態度」
「バーカ」
「誰が馬鹿やねん」
「うまずらー」
「おっと、きたなこら。おたがいちゃうんかうまずらは」
「おれはちょっと顔長いだけやないけ」
「それがうまずらやろ。俺がうまずらならお前もヒヒーンじゃ」
「ヒヒーンてなんやねん」
「おまえもヒヒーンじゃ。いやでも、お前のヒヒーンはあれや貧しいの音読みや」
「おい」
「貧しいんじゃお前は」
「ちょっとまてや!生い立ち関係ないやろ」
「ヒヒーンじゃ」
「絶対!関係ないやろ生い立ちは!」
「そういう意味でひん馬じゃ。貧しい馬でひん馬じゃ。おー、おすやけど」
「そんならなんや。お前のヒヒーンは… カタカナじゃー」
「普通やんけそれ!ちゃんと悪口いえ馬鹿!」
「ちょっと、ちゃんとしよう」


「さあ、緊張の一瞬。おーっと、ピッチャーが、ピッチャーがこれ。バッターである田村ひろしを睨み付けてるぞ。必ず抑えつけてやろうという意志の表れでしょうか。ふりかぶってー。第1球。投げました!」
(田村のけぞる)
「おーっと危ない!おーっとあぶない。あわや顔面デットボールという場面でありました。しかし、ピッチャーあやまるそぶりをみせません。これは挑発的な態度にでております」
「おーし、そんならこっちも」
「と、ここで。バッター田村ひろしも挑発的な態度であります」
(田村ホームランよこく)
「なんと、家のリモコンで甲子園のスコアボードを変えようとしております」
「なにしてんねん!そんなわけないやろ!」
「タイム」
「タイム?」
「一回、電池のふたあけて。2,3回ころころーって」
「なんの話してんねん!」
「いけるときあるから!ラスイチいけるときあるから!」
「どうちがうねん!」
「ラスイチいけるときあるから!」
「ラスイチてなんやねん!どうでもええわ!」
「ラスイチいけるって」
「ラスイチどんだけ言うねん」
「うるさいな」
「バットや予告ホームランや」
「予告ホームラン!予告ホームランでました。さあ、バッター田村ひろし。ここでホームランを打って、チームを勝利に導くことができるのでありましょーかー…ありましょーかー……ドクン、ドクン 


おれがここでホームランをうってみせるー
おれがここでホームランをうってー、チーム、ファン、そして自分のために勝利をもたらしてみせる。たとえ何十年つづけた野球人生が、この1球で終わってもおれはくいはねえ。必ずやこの1球。


バンっ ストライクアウトー!」
「なげんな!」
(どーも、ありがとうございましたー)



今「ばちこーん!きまりましたね。今日一番のオチのきまりじゃないでしょうか」
カウス「うっはあ!ほんっとうに最後きまったな。あれでおれから3点もっていったわ。よく練り上げて、今日に焦点あわせてやったわという感じ。今日に焦点をあわせてきたんでしょう。お見事でした。」
大竹「あんなオチみたことない」
今田「さあ、松本さん」
松本「ねえ。出てきてえ、急にあのオチ言うてもうけないですからね。」
今田「なにをいまさら言ってるんですかね。ほんっとまあ。カリスマぁ?」