世代のトップ18頭

スタート前。ファンファーレで暴れる馬はピサノクウカイマイネルマクロス、ヴンダー、スズカマンボコスモバルクキョウワスプレンダ
逆に落ちついていたのがマイネルブルックハイアーゲームアドマイヤビッグ
コスモバルクはなんと一番最初にゲート入り*1


今日の馬場で延びるラインは一本しかなかった。グラスポジションロードフラッグミスティックエイジと芝コースの勝ち馬は全てそのラインを利用し、2着に圧勝している。そのラインを主張する権利は4コーナーで先頭にいる馬だけに与えられた。


ダービーに出走した18頭は世代のトップ18頭である*2
はえある18頭全てにスポットライトを当ててみる。


中止 ○マイネルブルック 藤田信二
パドックでは尻尾にリボンをつけて2人に曳かれ、その馬体を見せる。気合も見せていた。藤田が乗っても入れ込まず。それが本馬場に入ると一変して駆けだしてしまう。
スタートもそれほどよくない。どころか、1コーナーをまわる時点ですでに脚色がおかしい。


17着 メイショウムネノリ 8.0差 福永祐一
パドックでも他馬ともかわらない態度で気合を出していた。2人曳き
さすがは福永。後藤がいかなければ自分がいく準備も心構えもできていた。ダービーのペースをそれらしいものにするために、絶好のスタートを決めて先頭に立とうとした。ただ、スイッチの入った後藤の暴走を見るやそれを放置。後藤がマイネルマクロスの本能を覚醒させたままに走らせたのと違い、自分はペースを守って走った。1000m通過がほぼジャスト1分。やはり、役者が違う。五十嵐もちゃんと祐一を信用して後ろで折り合わせてやれればよかったのだろうがそういうことも知るよしもない。マクロスの暴走のなかで祐一があの位置にいなければ、もっとレースはおかしくなっていた*3。よくやった。えらい。皐月賞にしてもダービーにしてもこの馬は時計決着にも長距離にも向かないのだろう。これだけ先行で折り合える安定度があるだけに、リンドシェーバーの役回りどうりに芝でも短距離ならば出番がありそう。


16着 マイネルマクロス 5.1差 後藤浩輝
すでにびっしり汗を書いていた。後藤が乗るとそれまで落ちついていたのも、気合がはいりすぎたのか鞍上の緊張を感じたのか、イレ込みが激しくなっていく。
スタートはヴンダーに一歩おくれた。それでも全馬中では5番目の好ダッシュ。前回はこれで前をふさがれてしまったが、今回は内にこさせないブロックで3Fかかりようやく前に出たも暴走。やはり後藤騎手は逃げでちょうど良いペースで折り合うことができない。


15着 ヴンダー 4.7差 柴田善臣
パドックではそのG1の雰囲気に飲み込まれ、おどおどとよそ見をしていた。本馬場入場でも歓声に耐えられないように駆け出していく。


14着 アドマイヤビッグ 3.0差 武豊
股汗から緊張が伺えた。


13着 マイネルデュプレ 2.7差 内田博幸
イレ込みをパドックに入った時からみせていた。曳く人間よりも大分低い体高、首までしかない小さな馬体は2400mには難しかった。股汗


12着 コスモサンビーム 2.5差 四位洋文
黒光りする馬体。パドックでは尻尾をふりまわしてイレ込んでいた。それが、ダービーの雰囲気からかメイショウボーラーがいないからかはわからない。リボン。
スタートすると全くスピードがのらずに最後方からの競馬。それは仕上げていない馬体だからおいていかれるのも仕方ない。私の考えた岡田氏の作戦は全くなかった。数さえ出して有力馬を少しでも減らせばよかったのだろうか。
レース後、骨折が判明している
あの高速馬場でのあのローテーションがこたえた。佐々木師も相当反対してDW調教のみで挑んだダービーがこの結果。2歳でレースをこなした馬にはやはりつらい。メイショウボーラーとの再戦がある。また、ターフに返ってきて欲しい。


11着 フォーカルポイント 2.0差 田中勝春
サンデーサイレンス産駒以外では4番目
パドックで気合を出しすぎるイレ込み。尻尾をふりまわす。落ちつきがなかった。
スタートを遅らせて最後方からの騎乗で、これだけ差し馬場で差せなかったのは田中勝春騎手が外伸びの馬場で進路をコスモバルクの後ろにとり何度も何度もブレーキをかけることになったため。田中勝春騎手はこれでまた東京2400mでの成績が悪くなった。東京では伸びそうな脚をみせていただけに残念だ。


10着 グレイトジャーニー 1.6差 小牧太
パドックでよそ見しすぎ。後方からついていくだけの競馬になった。やはり条件は短距離に限る。


9着 ホオキパウェーブ 1.4差 岡部幸雄
サンデーサイレンス産駒以外では3番目
初G1でも堂々たる雰囲気。ただ、岡部先生が乗るともうイレ込みはじめてしまった。まだまだレース歴の浅さを感じる。成長が楽しみ。
今回は外の偶数ということもあってか、なかなかの好スタートでほぼハイアーゲームと同じ位置どりをとることができた。レースは後方から進めるも、岡部騎手が馬場特性をなめていたのか後ろから内につっこんでいった。まだ首も高く長い足をうまく使えていない。この1.4差はそれほど悲観するほどの差ではないだろう。十分いいところをみせた。


8着 ◎コスモバルク 1.2差 五十嵐冬樹
サンデーサイレンス産駒以外では2番目
パドックですでに田部調教師が抑えて抑えてなだめていた。いつもそうなのだが、今回はよりひどかった。本馬場に入るともう抑えられない。口を割って一気に駆けだす。これで、もう大分解放されてしまった。
スタートは3番目にいい好スタート。いつもどうりにムネノリの2番手につけて*4、折り合いをとろうとするがなかなかうまくいかない。1コーナーでマクロスが暴走しはじめるとそれについていこうとしてかなりロスをしてしまう。ムネノリもそれにつきあって止まらなくなる。これではただ無駄にスタミナを消費するだけだった。
3、4コーナーを回るときに1度づつ後ろを向く五十嵐。しかも、内側を向いてしまう*5。ほぼ逃げている馬にはいい馬場を通ることが最優先でそれほど後ろを気にする余裕はないはずだった。いつ追い出すか、どれだけ良い所を通るかだけ。ダイワメジャーをみつけると馬体をあわせにいく、コスモバルクは粘りをみせるがちぐはぐになってしまった。皐月賞以上に自分の馬を信用しきれない騎乗になってしまった。結果は期待を裏切ることになってしまったが、直線でダイワメジャーにくらいついた粘りは十分評価できる。


7着 ピサノクウカイ 1.1差
びっしり汗をかいていたパドック。尻尾をふりまわして首に緊張感を走らせていた。


6着 △ダイワメジャー 1.0差 デムーロ
2人+1に曳かれながらも8キロ増えた馬体が大型馬の威圧感を違う方向に向ける。リボン。股汗。全く落ちつきのないクレイジーな馬鹿馬にしては落ちつきも増してきた。この分があるだけ古馬になって短い距離を使った時の強さが楽しみで仕方ない。
スタートは2番目にいい絶好のスタートだが、マクロスが行くとなるとデムーロは察知してポジションをさげる。道中はいい形で折り合い、4コーナーでも絶好の手応えだった。だが、コスモバルクに馬体をあわせにいくところを向こうからこられて自分の思う馬場を通れなくなってしまった。最後はコスモバルクを抑えたものの後ろから一瞬でかわすのにはついていけなかった。この仕上げでここまでよくきたものだ。秋がもっと楽しみになった。


5着 スズカマンボ 0.7差 武幸四郎
キングカメハメハにびびりすぎて後ろを歩けていない。すぐ目をそらして厩務員によろうとする。騎手が乗ってイレ込む。枠がよかったら*6力を発揮できたかもしれない。東京になった分だけハーツクライにちぎられたが*7テン乗りでこの走りなら関西に帰って安定させれば大将をはれる。京成杯でよろしく。


4着 キョウワスプレンダ 0.7差 佐藤哲三
そのスズカマンボを後ろからついていくパドック。体高が低いのにこれだけ走るのは能力の高さと東京適性の高さの証明といってもいいだろう。この馬も返し馬で口を割って走ってしまっていた
今年もまたスプリングS対馬がダービーで好走したのを覚えておきたい。


3着 ▲ハイアーゲーム 0.5差 蛯名正義
さすがに坂路3本を何度もやっているだけあって気合を出しているが、やはり最後まで詰めていくべきだった*8。はりつめるほどまではきていないように思える。股汗。返し馬を終えるとピタッと一点でとまって決めポーズ。この落ちつきが素晴らしい。スタート前も
3、4コーナーではキングカメハメハの外を抑えつけてまくっていく。蛯名はウォーライクトニーで先生のグラスポジションに圧勝されたときに、あのラインが異常に伸びることを知っていたはずだし、絶対譲らない気持ちがあったはずだが、アンカツとの競り合いであけわたしてしまった。この時点で勝負は決着している。これで、ようやく蛯名はダービーで複勝ダービージョッキーがほんの少しだけ近づいた。


2着 ハーツクライ 0.2差 横山典弘 橋口 サンデー×トニービン
ブリンカーから鋭い眼光をのぞかせ、さすが坂路でキタサンチャンネルツルマルボーイをちぎった馬。集中しきって気配丸だし。リボン
横山のテン乗り2ゲットはもはやスクリプトでもくんでいるのではないかとあやしんでしまう。それにしてもよくぞ伸びる馬場をみつけたものだ。来週からは仮柵はずしてAコースなのでこの技は幻に終わるだろうが、デュランダルテレグノシスがあの加速帯に乗ったらと思うとゾッとする。
ちなみに来年のために覚えておいたほうがいい、あるレースのデータ


93 ビワハヤヒデ    皐月賞 2人気2着 ダービー2人気2着
94 エアダブリン    ダービー4人気2着
95 タヤスツヨシ    皐月賞 4人気2着 ダービー1人気1着
96 ロイヤルタッチ   皐月賞 1人気2着
97 サニーブライアン  皐月賞 11人気1着 ダービー6人気1着
00 アグネスフライト  ダービー3人気1着
01 ダンシングカラー  ダービー11人気3着
02 ノーリーズン    皐月賞 15人気1着
03 ラントゥザフリーズ 皐月賞 8人気4着
04 ハーツクライ    ダービー5人気2着


1着 キングカメハメハ 2:33.3 レコード 安藤勝己
サンデーサイレンス産駒が圧倒的に有利な馬場での圧勝。力の証明。
王者はもうパドックからオーラを出しまくっていた。2人曳きでひく2人よりも大分高い。尻がはねあがっていて後ろ脚の筋肉が尋常でない。尻尾を一点にとめて歩くその様はまるでスーパーモデル*9。地下馬道ではイレ込む他馬を先にどんどん行かせて蝦名ハイアーゲームとともに後ろから本馬場へ。厳しい顔をする蝦名と対称的に笑顔のアンカツ。TVからも伝わってくるその笑顔の下の彼の勝負師魂。本馬場に入っても厩務員がそのまま2人でひいて、テンションがあがるカメハメハをなだめる。アンカツはここで勝負モードに入った。ゆっくりとどっしりと構えた返し馬。威風堂々
スタートもよかった。伸びる馬場が目の前にあったというのもあるが2Fまでで5番手のポジションを軽々と取ることができた。道中では外目外目をきっちり折り合い、3,4コーナーの勝負どころでゆっくりゆっくりと進出する横綱競馬。そのまま一番いい馬場を奪い駆け抜けた。強い。
それにしても、NHKマイルで完璧な仕上げをしていると、ダービーまでにそれほど時計を出したりせずにダービー向きになるように仕上がる。これまで、多くのダービー馬がダービーを最後に著しく競走能力を失ったりしたが、このレベルの調教であったのはむしろ競走馬としての未来は明るい。2レースで2レコード。

*1:JRAにはゲート入り順くらい公表してほしくなってくる

*2:残念ながら、ここにメイショウボーラーはいない。だが、このレースにでなくてよかった。ある意味

*3:思えば、天皇賞秋でローエングリンの後藤が暴走したときもエイシンプレストンの祐一が前にいたんだよな

*4:マイネルマクロスは無視したメイショウムネノリの2番手

*5:4コーナーを回るときキングカメハメハハイアーゲームはすでに外側にいた

*6:もっと、カメハメハ大王と離れていたら

*7:これでハーツクライに3戦3敗

*8:最終追いきりは軽い目の調教だった

*9:俺をみろ!