マイルチャンピオンシップ 〜2頭の牝馬と騎手〜

ギャラントアローの踏んで行くラップはかなり速く追走するメイショウボーラーにとってはスワンS以上の厳しい流れとなった。また、ラクティの進出が先行馬にとってさらにきつい展開となり最後は外から差す馬がなだれ込んだ。1着と最下位が2秒差という最近のマイルチャンピオンシップには珍しいパターンである。この展開ならフォルクローレはもう少しやれると思ったが11着。まだまだ壁は厚いようだ。


デュランダルが自分の競馬で2連覇を達成。この新しいサンデーの短距離馬はあまり相性はよくなかったが、引退となると絶対的存在のなかったこの路線において人馬ともによくやったと思う。最後に1番人気で勝てたのはそのむくいだろう。


さて、今回のマイルチャンピオンシップ回顧では2頭の牝馬にスポットライトを当ててみたいと思う



ともにデビュー前から天才とうたわれ称されデビューから連勝に連勝を重ね、一気に栄光まで辿りついた。才能の差で同世代に勝った良馬ともに気性の問題を抱えていた。ファインモーションが壁にぶち当たったのは遠征、ダンスインザムードは距離延長でその弱さを見せることになった…


今回のマイルCSにおいて私の前評価はファインモーションは折り合う、ダンスインザムードは荒れ狂うというものだった。前者は弱点を克服し、後者はまだまだ弱点を見せると考えていた。






3枠5番 ファインモーション 武 豊
8枠15番 ダンスインザムード C・ルメール






ファインモーションが去年マイルCSに挑戦していきなり折り合えたのは今更だが、大外枠で他馬にからまれなかったからだった。安田記念を遠征による問題での敗退と決めてしまうとその事実は見えなくなった。札幌記念で後方で折り合えたのも他馬に囲まれないポジションだったからだ。
ゲートが開くと武豊ファインモーションの位置どりを後ろに決める。前が塞がれていき、外からもつねにかぶされる状態。出遅れたラクティがポジションを前に進めていくとファインモーションの悪い癖が出てしまった。必死に立て直す武豊


ダンスインザムードパドックでチャカチャカしている。この光景は当分おさまることはないだろう。だが、それでも外外を回して周回するあたりG1を強行してきたようなローテーションにも耐えたということだ。馬体重は遠征してもマイナス4キロ。
外から2番目でスタートするダンスインザムードにとってスタート位置が奥であること、大外枠のロードフラッグの枠入れが最後であることが幸運だ。スタートを決めたダンスをルメールはままに行かせることをせず控えさせた。幸い外を回るうちに位置どりは中段に決めることができた。








2着 ダンスインザムード C・ルメール
9着 ファインモーション 武 豊







3コーナーの下りからデュランダル馬なりでポジションをあげつつ外にふっていく、ファインモーションはここで外に抜け出したかったのだろうが、内を狙うしかなかった*1。前は壁となり、馬群は抜け出せずにデュランダルに1.1秒の差をつけられた。引退を表明していて、陣営は少し悔いを残す結果となった。


3コーナーの登りでルメール騎手を追いだすのをじっくり待ち。我慢した。仕掛けるポイントを絞り、下りおわると同時にステッキを叩く。その一瞬でダンスインザムードはまっていましたとばかりに弾ける。内にいるほとんどの馬を交わし切り明らかに1頭だけ違う脚色だった。だが、上には上がいた。この2戦の2着はどちらも同じ後ろから切れ味のまさるサンデー牡馬に一瞬で交わされるという敗戦。決して悲観することはない。前にいる馬はとらえているのだから勝利の日も近いことだろう。








ダンスインザムード
アドマイヤグルーヴ
ファインモーション






世代は違うが超良血で気性が荒くて天才的で武豊がG1を勝たせた3頭の牝馬。3頭が同時に出走したレースはいまのところ無い。そういえば、有馬記念のファン投票が始まっている。私はまずこの3頭を投票に入れよう。もちろん、武豊の苦ローンが必要になるけど。












次回予告


ダンスインザムードを手なづけたクリストファー・ルメール!だが、またしても荒無者が待っていた。そう、ジャパンカップで新しくコンビを組むのは北海道からの刺客コスモバルクルメールは手なずけることができるのか?それとも、スタンド前で暴走してしまうのか?乞う、ご期待!

*1:先週アドマイヤグルーヴでギリギリの隙をついたのも布石かもしれない