有馬記念 〜タップダンスシチーお帰り〜

SAMEDI 04 OCTOBRE 2003

LONGCHAMP


つねにフロックと言われ笑われてきた最強馬



「来年はこの馬で有馬記念とろうかと思ってます」


まだ準OPの馬になにを言うか と



「今年は絶対G1を取りたい」


有馬記念のマグレでとちくるったか と



「年内無敗で凱旋門賞に挑戦します」


タケ・ユタカも乗らない日本馬が何様だ と



1度諦めた夢。佐々木調教師が騎手のころから見ていた舞台。


外国馬相手にG1を勝ちたい。
3,4,5,6歳と世代のナンバーワンが一同に集まったのは2002年の宝塚記念。前年の有馬記念で低人気を覆す走りをみせたタップダンスシチーは連勝でこのレースに望んだ。ついに人気の一角。シンボリクリスエス坂上で並び差し返し残り100mで先頭に立つ。が、その背後から2頭に差された。


京都大賞典を勝ち、狙い定めてJCを勝利したタップダンスシチーは年末のグランプリへ挑む。いや、挑むというよりもチャンピオンとして受けてたつ立場だった。持ち前の先行力で抜けだし、逃げる体勢に入ったところでザッツザプレンティが歓声におされてひっかかる。アクティブバイオがつられて11.2 11.2 11.2 11.6。とんでもないペースになっていく。タップダンスシチーもここで脚を使わされた。3コーナーで埒をとれずカーブがうまくいかない。タップダンスシチーは馬群に沈んだ…





これまで幾多の名馬が日本の威信を賭けて、期待を背負ってかの地に向かった。


1969 - Speed Symboli  10着
1972 - Mejiro Musashi 18着
1986 - Sirius Symboli 14着
1999 - El Condor Pasa 2着
2002 - Manhattan Cafe 13着
2004 - Tap Dance City 17着
賞金は日本でいうとG2と変わらないようなレースである。古馬中長距離のレースだって他にいくらでもある。だが、凱旋門賞は別格。その年の一番強い馬を決めるレースである。だからこそ、日本のホースマンもその最強馬をアメリカの大レースや他国の大レースには目もくれずにこのロンシャンの地に運ぶ。今年も言うまでもない最強馬がのりこむ準備を完璧に整えて…いなかった

10月3日(日)に行われる凱旋門賞競走(国際G1)に出走予定であったタップダンスシチー号(栗東・佐々木 晶三きゅう舎)の関係者より、輸送機が故障し、代替機の調達が不可能となったため、出走を辞退するとの連絡が入りましたのでお知らせいたします。
10月1日の便を準備して、台風にびびりながらなんとか出走にこぎつけたタップの状態も最高。言うまでもなく準備は万全だった。だが、逃げるノースライトを捕まえることができず4コーナーで埒をとれない。走りはちぐはぐになりタップは馬群に沈んだ…


これがこの2年間でタップダンスシチー負けた全てのレースである。2年で9戦6勝。うちG1が2つ、重賞3つ。重賞を勝った全てのレースで4コーナー先頭。こんな魅力のある馬の単勝が現在8.9倍。みんなサンデーの方が好きなんだ。哲三だって1番人気なんかより穴っぽく走る方が楽しくていい。心踊る圧勝というのは期待がないほうが楽しいじゃないか。


ロブロイだバルクだデルタだと。新聞が書き立て騒ぐけど。代表として戦ったタップダンスシチーに言うべきことがあるだろう。惨敗だったけれども、見せてくれた走りで熱くさせた。そんなタップに「おかえりなさい」と。


有馬記念は全国快晴。今年の暮れも優駿15頭が駆けぬけます。まず、先手をとったのはタップダンスシチー



ペリエがおかしい?


金曜に熱を出したというペリエ
単勝回収率が騎手人気しながら100%を超えるペリエ
人気以上の着順にもってくるペリエ


そのペリエがおかしい。なんと今日のペリエ騎手の成績0−0−1−9。それも片っ端から人気の馬に乗ってのことである。メインレースのころにはさすがに購入者も気づきだしてペリエ消しという流れになっているが、この成績の悪さは明らかに体調不良。結構きつい病気なのではないか。明日も10鞍用意されている。とても、乗り切れる状況ではない。ゼンノロブロイだけに賭けてくるはず。それ以外は全消し。有馬にしてもペリエだけがたよりのゼンノロブロイにとって、あまりにも酷な状況である。


1R ダ1200 2人10着
2R ダ1800 2人3着
3R 芝1200 1人5着
5R 芝1600 1人4着
6R ダ1200 1人5着
7R ダ1200 2人7着
8R ダ1800 1人7着
9R 芝1200 1人4着
11R 芝1600 4人5着
12R 芝1600 4人5着


中山9R*1 芝2500m 有馬記念


タップダンスシチーの先行力は今回の出走馬と比較すると3Fで0.5秒違う。コスモバルクがたとえスタンド前で多少かかってきても、外からタップがおさえつけることにより、この枠順ならその時点のリードが大きく五十嵐騎手も控えることを選ぶことができるだろう。一番怖かったタップの外からバルクがかかって暴走というパターンを防ぐことができそうだ。さて、ここからが大変である。タップについてくる馬はコスモバルクシルクフェイマスデルタブルース。これだけである。バルク以外はスタミナに自信があるタイプであるが抑えるなら抑えていくだろう。だが、タップダンスシチーはスローで逃げて最後に突き放すなどという下らない逃げ方をする馬ではない。強い心臓の力で平均12秒のラップで逃げ続ける。これではコスモバルクだって控えても単騎で逃げたのと同じ状態である。おそらく前にいるタップを追いかけようとする。ダービーと同じくね。だが、五十嵐だって同じ間違いはしない。これは自分のペースと割り切ってきっちりレースをこなすパターンに切り変える。


時、すでに遅し


4コーナーを回る時点でのタップダンスシチーと後続との差は8馬身。コーナーリングでさらに突き放す。


コスモバルクはおそらく最も自分に合うレースをすることができるだろう。マスコミはゼンノをマークだとか言っているが、あれも全てブラフだろう。中山でバルクが見せたパフォーマンスならばタップダンスシチーの逃げを捕えるのは難しいが、0.2秒ほどの差にはなる。あとはシルクフェイマスとのグリーンベルトの取り合いだが、おそらく先行しているのはバルクの方で少しだけ分がある。


2着は3コーナーで仕掛けることのできる馬である。その上で800mを仕掛けっぱなしで走り切れる馬。まずはシルクフェイマス。前走は外を回された上にスローの上がり勝負の中距離と完全にリングの外のレースをさせられた。速い時計で決着した消耗レースJCも回避し、ここ一本で持ってきたのが良い方向に働きそうだ。タップを追いかけて4コーナーで最も伸びるラインに乗れば僅差まで持ち込めるだろう。


ペリエに問題のあるゼンノロブロイだが、彼もこのレースにだけは命をはって乗ってくる。他に支障はありそうだが、ここで3着も確保できないような乗り方にはならないだろう。タップダンスシチーには勝てないがタップがいないバルクが逃げるレースと考える2,3着争いの筆頭。


騎手が5戦連続で変わっているデルタブルース。前走の安藤騎手は騎乗経験があったものの、今回のボニヤ騎手は全くのテン乗り。しかも、日本のG1はもちろんだが中山の騎乗経験も少ない。岩田騎手が乗るのなら対抗にしようとも思っていたが、テン乗りボニヤ騎手では2着争いの3頭全てに先着するのはかなり難しい。3着までだろう。


ヒシミラクルはこういう展開大好きだとは思うが体重が450キロの超差しステイヤーで小回り急坂の中山2500mが合うというタイプのステイヤーではない。来年の春まで待とう。


タップダンスシチー
ゼンノロブロイ
コスモバルク
シルクフェイマス
馬単流し
デルタブルース

*1:注意