松坂と松中の直球対決

西武に勝たないと優勝はない


西武がBクラスであればプレーオフに出ないとかいうこともあるが、それよりなによりホークスにとっての西武は常に優勝を争う相手。去年はレギュラーシーズンで4.5差をつけたものの、プレーオフで西武と戦い、優勝を逃した。今年も下位3チームには29勝3敗という脅威の成績だが、ロッテ、西武には負け、前回の対戦ではインボイス西武ドームで2連敗。15連勝の勢いを止められ、松坂には完封された。


前日の練習では王監督から十数分にわたって激が飛んだ。


「オレは明日勝ちたい。野球界の先輩として言わせてもらう。松坂の直球を打たないといけない。結果はどうなるか分からないが、直球を全部打つつもりでいけ」(日刊
つねに直球を打ってこそホームランという王監督らしい。


はたして、試合は両軍3者凡退ではじまる。さすがエース対決。2回裏、先頭打者好調松中への初球は直球だった。調子の悪いときは振れなかった初球をジャストミート。先制ホームランを放つと、次の打席もむかってきた直球をとらえて今度はライトスタンドへ。


2打席連続でホームランを放たれても松坂大輔はひるむことなく、どころか狙われているとわかっている直球を投げた、4球とも直球。その4球目をライト戦へ二塁打に運んだ。

9回裏
次の打席。1点を追いつかれて3−3というシーン。松中は初球、2球目のチェンジアップに全く反応しない。待つのは直球一本。それに応えるかのように直球を投げ、ライトスタンドへ白球が吸い込まれた。


4打数4安打。2塁打1本、ホームラン3本。勝たなければいけない試合で、打つべき人が打ちたい相手の最高の球を打ちつくした。「これだけ広い球場で、飛ばないボールに変わって30本という数字は誇ってよいものだと思います。ですが、それよりも、とにかく優勝したい。」
試合も斎藤和己が通常はカウント球のカーブをなかなかストライクに決め切れないながらも試合をつくり、吉武がそのバトンを受け取って失点を抑えた。今日はレギュラーシーズンの1位だけでなく優勝に近づいた。その試合であるように思う。