今年は久しぶりに熾烈なリーディングトレーナー争い 〜その1

リーディングトレーナー


年度で最も多くの勝ち星をあげた調教師へ与えられる称号。その称号は優秀な調教技術を持つだけではなく、マネージメント、優秀な主戦騎手の確保、馬主の信頼、おおよそ調教師に必要な資質を全て兼ね備えた調教師しか獲れない称号である。



・去年のリーディングトレーナーをみなさんはご存知だろうか?
リーディングジョッキーならば即答できる人も多いと思うが、リーディングトレーナーを即答できる人は競馬ファンでもそれほど多くないと思う。答はゼンノロブロイを配して古馬秋のグランドスラムを成し遂げた藤沢和雄調教師である。


では、ちょっと難しい問題。


・一昨年のリーディングトレーナーは誰でしょう?
さあ、記憶力のテストである。リーディングをとるためには各世代で満遍なく勝ち星をあげる必要がある。とくに2歳馬を何頭勝ちあがらせることができるか?この点が重要。古馬のG1で勝つのと2歳未勝利で勝つのはリーディングトレーナー争いにおいては同等の価値がある。


ちなみに、答は藤沢和雄調教師だ。ではさらに難しい問題


・1995年のリーディングトレーナーは誰でしょう?
馬鹿にすんな!と怒る人はまだ配慮が足りない。1995年の活躍馬を思い浮かべる人もちょっと落ちついて欲しい。そう、「質問を投げかける人間がどういう答を欲しているか」を考えたあなた。お見事。答は…



今年のリーディングトレーナー争い。トップを走るのは瀬戸口調教師である。現在の順位を見ていってみよう。


参考(netkeiba)
http://db.netkeiba.com/index.php?pid=trainer_leading


1位 瀬戸口 49勝
2位 藤沢和 47勝
3位 音無  46勝
4位 森秀行 38勝


今週、瀬戸口調教師が2勝をあげた。一方、藤沢和雄調教師は前代未聞の10頭追いをしたジャリスコライトをしてもデザーモがムチを落とすというありえない失態をおかしたことにより3着(写真は手でパチパチ叩くデザーモの図)。今週は1頭も勝っていない。というか、先週も1頭も勝っていないのだ。



藤沢和雄の失速


さて、さきほどの答なのだがなんと藤沢和雄。というよりも、ここ10年間のリーディングは全て藤沢和雄調教師なのである。


近年のリーディングトレーナー

1990 橋口弘次郎
1991 渡辺栄
1992 小林稔
1993 藤沢和雄
1994 松山康久
1995 藤沢和雄
1996 藤沢和雄
1997 藤沢和雄
1998 藤沢和雄
1999 藤沢和雄
2000 藤沢和雄
2001 藤沢和雄
2002 藤沢和雄
2003 藤沢和雄
2004 藤沢和雄


ところが、今年は連対率が.359から.296まで落ちてしまっている。生涯の平均連対率でも.326だったのだからイチローが3割を切ったようなものだ。2歳馬がほとんど勝ちあがらず、北海道で相当な低迷をしたのもその原因のひとつだが一番の原因は岡部騎手の引退らしい。


10月26日付けの『ホースニュース馬辻三蔵の辻説法 から引用すると


岡部騎手の引退によって


・追い切り後の適切なアドバイス
・藤沢厩舎の縦列調教を引っ張るペースメーカーの役目

この2点がとくに狂い、調整がうまく進まなかったらしい。さらに、岡部騎手のあとにペースメーカーをやっていた鹿戸騎手がゼンノロブロイの欧州遠征についていったため日本に残った馬の縦列調教は上手くペースを作ることができなくなったとある。主戦としても活躍していた岡部騎手の引退は相当こたえているのだろう。


2つ目の原因は主戦騎手にある。


…つづく