王者として迎えられたディープインパクトとカネヒキリ

カネヒキリのJCDとディープインパクト有馬記念にはある共通項があった。


それは、「まだ4歳の立場ながら古馬最高峰のレースにおいて挑戦者ではなく、王者の立場として迎え入れられた」ことだ。カネヒキリディープインパクトともに古馬初G1に1番人気でたちのぞんでいる…


ディープインパクト(Deep Inpact)


2005年を象徴するサンデーサイレンスの傑作は競馬感を変えるような度肝を抜くようなレースを続け、圧倒的パワーで同世代を抑え付けた。カリスマ的な人気をおびていき、それは社会現象になっていった。


カネヒキリ


くしくもサンデーサイレンスの最初の傑作であるフジキセキから生まれたのがカネヒキリである。芝では陽の目をみることがなかったが、その活躍の馬をダートに変えると別馬のような強さを見せ始めた。ダートを走れば走るほど圧倒的なパフォーマンスで世代を塗り替えていく。ともに同世代に対しては無敗を貫いていたこと、ともに今の日本のリーディングジョッキーである武豊を鞍上にしていたことなどによって、カネヒキリはいつしか砂のディープインパクトと呼ばれるようになっていた。


■ 分岐点(★Tarning Point★)


それはカネヒキリはG1こそ初挑戦だったものの、前走のG3ですでに古馬との対戦を済ませていた。しかも、その結果は負けであった。それがゆえに少なくとも”無敗”というプレッシャーからは逃れることができた。対してディープインパクトは20年ぶりの無敗の三冠馬という看板が目線の力量を計るにはあまりにもかけはなれさせた。競馬、馬券という概念から離れた位置にある、浮世の世界の生物であるような印象を持たせていたことだ。カネヒキリも3歳ダートクラシックというものを考えるならば、無条件で降伏させる力を見せつけてきたが、その印象は一度の負けによって現実ばなれしたものではなくなっていた。


こういった違いもあるが一番の違いというとその結果であろう。ディープインパクトは負けたのに対してカネヒキリは僅差ながらも勝ちきったのだ


つづく