日経新春杯 〜1997年の天皇賞が浮世に蘇ろうとしている〜

今年の天皇賞・春は1997年の天皇賞のリベンジマッチである。


サクラローレルマーベラスサンデーの一騎打ちになりマヤノトップガンと前2頭には決定的な差がついていた。条件戦ではない。G1だからこそ、決定的な差である。サクラローレルの2連覇は目前だった。だが、マヤノトップガンが見せたことのない脚を使った。理解不能なレコードになった。それだけのことだ。たった3分14秒の話。



2004年


マーベラスサンデーシルクフェイマスを、マヤノトップガンがチャクラを*1。いずれも、現在出てきたなかで最も優秀な産駒といえるだろう。それが、全て春の天皇賞を目指している。血のドラマは彼らのベストマッチである天皇賞を選んだのだ。そこに加わるのが同じ時代を歩みながら会いまみえるすることのなかったダンスインザダークの子供達。父と同じ菊を掲げるデルタブルースダイタクバートラム


サクラローレルは遅れをとっていた。次々と出世馬を出すライバルに対して重賞馬といえば、ローマンエンパイアシンコールビー。先が見えたところで故障した。




父  サクラローレル
母  サクラヒラメキ(母父 ノーザンテースト
母母 サクラハツユキ(母母父パーソロン
母母母サクラジョオー
ずらり、見事なサクラの牝系。母母母母スワンズウッドグローヴにはじまるサクラの中心牝系*2からその当時の最高の種牡馬を選んで揃えられ、サクラローレルで完成したのがサクラセンチュリーだ。

日経新春杯は逃げ馬がいなかった。コイントスが先行力で前に出てペースを作る。誰も介入しない。幸い京都は外が伸びすぎる馬場だけにどんなにスローになっても外から差せば前が止まらないという心配はほとんどない。そういう状況がレースをドスローに持ち込ませた。

ラップタイム

13.0 - 12.2 - 12.2 - 13.8 - 12.9 - 12.9 - 13.2 - 12.9 - 11.8 - 11.5 - 10.8 - 11.8

ナリタセンチュリーが不利を受けたように見えた日経新春杯。だが、京都の下りですでにサクラセンチュリーの脚色がうわまっており、直線向いての伸びもサクラセンチュリーが上。その上、外の伸びがいい馬場だけに武豊騎手としても1.6倍という一本かぶりの人気に対して応えるためにも、なんとしても勝とうとしたのかサクラセンチュリーに無理に馬体を併せにいった。両者がぶつかるとサクラセンチュリーも勢いあまって内に切れ込む。このとき内にダディーズドリームがいたためナリタは進路につまってしまう。サクラセンチュリーは体勢を崩しながらも無理やりに勝ちにいく。佐藤哲三の手綱捌きでつかむ。


勝ちタイムは2:29.0と遅い。花見小路特別が1.48.7と通常の良馬場よりも1秒ほど時計がかかる馬場であるにしてもコイントスに逃げさせてのラスト5F勝負ではより長い距離を戦っていく際に強調できるようなレース内容ではない。だが、この1勝の価値はあまりに大きい。


やっと追いついた


サクラローレルサクラセンチュリーを生み出した。


1着 マヤノトップガン R3.14.4
2着 サクラローレル
3着 マーベラスサンデー


3強と時代が、5月1日にもう一度、出会う。
競馬とか、もう楽しすぎる。面白すぎる。本当に

*1:ここがちょっと弱い。あと1勝できれば壁を超えられそうだが

*2:チヨノオーとかホクトオーとか、最近ではヴィクトリアとか